~いっしょうけんめいはたらいて、はたらく 仲間に なりました!~
株式会社福山 人力うどん勤務
あゆむに入るまでのこと
高校卒業時は就労継続B型を利用することも考えていたSさん。高校時代、就労の力を確かめるため、あゆむを利用されました。Sさんは読み書きが苦手で、発音にも障害があるので、なんと言おうとしているのか、周りの人にはなかなかわかりません。でも、いっしょうけんめい、伝えようとするひたむきさがあり、なんとかコミュニケーションをとろうとします。また、周りの人のまねをして仕事をしたり、周りの人に合わせて行動することもできました。そこで、ご本人にも、ご家族にも「就職するチャンスはあると思います」とお伝えし、卒業後、あゆむを利用して、就職をめざすことになりました。
訓練の様子
あゆむは、就職のための訓練ですので、送迎がなく、自分で通所することが基本です。Sさんは、電車やバスを一人で利用したことがなかったので、まずそこから練習しました。
最初は西鉄久留米までご家族がいっしょに電車にのり、バスは他の訓練生と一緒に乗るところから始め、毎日繰り返すことで、決まった区間での電車、バスの利用は一人でできるようになりました。職場実習には就職までに5か所の会社に行きましたが、そのつど、ご家族にも協力をお願いしながら、あゆむのスタッフと練習していると、できるようになることがわかりました。
訓練をはじめたころは「足がいたい」と作業をしようとしなかったり、注意するとがんこになったりすることがありましたが、訓練や実習をとおして仕事は最後までがんばること、指示や注意をきちんときくことなども少しずつできるようになりました。実習するなかで、Sさんは、お皿洗いの仕事をしたいと思うようになり、何社か職場開拓をしたところ、人力うどんでの実習が決まり、実習でのがんばりが認められ、就職となりました。
就職してからの成長
就職して最初のころ、職場の方は、仕事中にトイレにこもったり、ときどき言うことをきかなくなるSさんと、どう向きあえばいいのか、とまどっていました。しかし、店長は「本気で向き合って育てる」と決め、「怒るのではなく、叱る」ということを意識して、職場でしてはいけない態度は注意し、できたときはほめることを意識して接しているうちに、Sさんがだんだんと心を開き、信頼関係が築けてきた、と話します。
Sさんの仕事はお皿あらい。お昼のピーク時には シンクがどんぶりでいっぱいになります。就職した当初はピーク時には一人では間に合わず、他の人が手伝っていましたが、就職して2年たった今では、ピーク時の洗い場も一人でさばきます。今では、「これは自分の仕事」と、ほかの人にゆずらなくらい、責任感が育っています。
「今では立派に一人前なので、彼が休みの日は困る」と店長。進化はまだ続いていて、最近は教えていないのに、他の人がしているのをみて、お皿を自分で引いて「やったよ!」と店長にアピールしてくるとのこと。そんな成長しているSさんを見て、周りのモチベーションがあがり、お店のチームワークもよくなっているとのことです。
Sさんが、就職し、時間をかけて本当の意味で人力うどんのスタッフの一員となれたこと、応援したあゆむのスタッフも本当にうれしく思っています。